立場お祝いを贈る側の章
会社設立 お祝い 縁起物
会社設立のお祝いに贈る縁起物|招き猫・だるま・熊手の選び方と、避けたい贈り方

対象
お祝いを贈る側
新しく会社を始める知人や取引先に、花や現金とは少し違う「縁起物」を贈りたい。招き猫やだるまが頭に浮かんだものの、置物は好みが分かれそうで、決めきれずにいる。そんな方に向けた記事です。
立場はお祝いを贈る側です。受け取った会社がどう飾るか、お返しをどうするかは扱いません。縁起物とは何を指すのか、どんな相手なら喜ばれ、どんな相手には控えたほうがよいのか。贈る前に確かめたいことを、品物ごとに順番に見ていきます。特定の店や商品はすすめません。
縁起物とは何か:会社設立のお祝いで考える3つの見方

縁起物と聞くと、神社で授かる熊手やお守りを思い浮かべる方もいれば、旅先の土産物店に並ぶ招き猫を思い出す方もいるでしょう。FUN! JAPANの解説では、鶴や亀、松といったモチーフまで含めて「幸運のシンボル」とされています。つまり縁起物は、特定の品を指す言葉というより、「福を願う気持ちを形にしたもの」の総称です。
会社設立のお祝いで縁起物を考えるときは、次の3つの見方で整理すると迷いが減ります。
- 願いが商売に向いているか:商売繁盛、千客万来、金運など、事業の門出に重ねやすい意味を持つ品か
- 飾る場所があるか:置物や熊手は、受付や応接、棚の上など置き場所が要る。事務所の広さと相談になる
- 相手が縁起を気にする人か:験を担ぐ経営者もいれば、気持ちだけで十分という人もいる
三つ目は意外に大事です。縁起物は、受け取る側にとって「飾らなければ悪い」という無言の圧力にもなり得ます。縁起物を贈るときのマナーは、品の意味を知ることより、相手の負担を減らすことにあります。会社設立のお祝いで贈る以上、相手の事務所の雰囲気に合うか、好みを知っている間柄かを先に考えたいところです。

ひとこと注意
縁起の意味づけは、地域や作り手、売り場の説明によって違います。この記事で示すのは複数の解説を突き合わせた一般的な見方で、会社設立のお祝いに必ず贈らなければならない決まりがあるわけではありません。
招き猫は手の向きと高さ、色で選ぶ:左手か右手か

会社設立のお祝いの縁起物でいちばん名前が挙がるのが招き猫です。All Aboutの解説によると、右手を上げた招き猫は金運を、左手を上げた招き猫は人を招いて千客万来や商売繁盛につながる、といわれています。来店や来訪が事業の柱になる会社なら、左手を上げた猫が選ばれやすいでしょう。
手の高さにも意味があります。耳より高く上げていれば遠くの福を、耳より低ければ近くの福を招く、と説明されています。一般に流通している招き猫は耳より低いものが多いとされます。これは大小どちらがよいという話ではなく、「近くのお客さんを大切にしたい」のか「遠くの取引まで広げたい」のかという、相手の事業のイメージに合わせて選ぶ目安にすぎません。

色については、白が開運招福や商売繁盛、黒が魔除けや厄除け、赤が病除け、金や黄色が金運とされています。会社設立のお祝いなら、どんな内装にもなじみやすい白を選ぶ人が多いようです。ただ、色の意味は新しく作られたものも多く、説明が商品ごとに違うこともあります。
もう一つ、両手を上げた招き猫には注意が必要です。お金も人も招く縁起のよい姿と見る人がいる一方、万歳に見えて「お手上げ」を連想するとして嫌う人もいます。会社への贈り物では、解釈が割れるものは避けるのが無難でしょう。
手の向き、高さ、色、大きさ、置き場所のそれぞれを掘り下げた内容は、子記事の会社設立のお祝いに招き猫を贈るときの選び方にまとめています。
だるまは「目入れ」が残る贈り物:挑戦を応援したい相手に

だるまは、倒してもすぐ起き上がる形から「七転び八起き」の縁起物として知られ、商売繁盛や開運出世の願いを託されます。会社設立のお祝いに贈るなら、挑戦そのものを応援したい友人や家族の会社に向く品といえるでしょう。
だるまならではの特徴が、目入れです。All Aboutの解説では、一般的にだるまの左目(向かって右)に黒目を描き入れて祈願し、一年を無事に過ごせたときや願いがかなったときに、感謝を込めて右目にも黒目を入れる、と説明されています。つまり、目を入れていないだるまは、贈られた側が自分の手で願いを立てるための品です。贈る側が先に目を入れてしまうと、相手の楽しみを奪うことにもなりかねません。
色についても、赤だけでなく白や金、黒など多彩なものが出回っています。商売繁盛との結びつきが強い色は何か、と決めてかかるより、相手の事務所の雰囲気に合う色味を選ぶほうが現実的です。だるまは赤いものが象徴的ですが、赤を気にする相手には、白や金など別の色を選ぶ方法もあります。
もうひとつ考えたいのは、一年たった後のことです。だるまは、願いがかなったあと、または一年たったあとに神社や寺に納める習わしがあります。だるま市では前年のだるまを納めて新しいものを求める、という流れも紹介されています。置物として飾りつづけるつもりで贈ると、受け取る側がどう扱うか迷うかもしれません。その点を考えて、メッセージカードに「一年の区切りに目を入れてください」と一言添えておくと親切です。
例文:友人の会社設立に添えるカード
新しい会社の立ち上げ、おめでとう。準備の大変さを横で見てきたので、このだるまに最初の一つ目を入れる日を楽しみにしています。軌道に乗った日に、もう一つの目も入れてやってください。
熊手と置物:飾る場所と一年の区切りを考える

熊手は、福や金運を「かき集める」意味を込め、商売繁盛や開運招福を願って飾る縁起物です。Squareの解説によれば、店舗やオフィスでは翌年の商売繁盛を願い、1年に一度買い替える習わしがあります。酉の市で買い求めるのが一般的で、2026年は一の酉が11月7日、二の酉が11月19日とされています。会社設立の時期がこの頃なら、酉の市の熊手を選ぶ人もいるでしょう。
ただ、熊手は一般の置物より場所をとります。飾り方の基本としては、玄関や神棚など、清潔で落下しにくい高めの場所を選ぶこと、来店客や従業員の動線を妨げないことが挙げられています。会社を設立したばかりの小さな事務所やシェアオフィスでは、置き場所そのものがないかもしれません。贈る前に、事務所の広さと壁面に余裕があるかを確かめておきたいところです。
熊手のほかには、鯛のモチーフも縁起物としてよく使われます。「めでたい」に通じる語呂合わせから、お祝いや祝福の象徴とされ、七福神の恵比寿様が抱える姿でも知られています。小さな置物や飾りなら、棚の隅にも置きやすく、受け取る側の負担も軽くなります。
- 熊手
- 飾る場所をとる。玄関や神棚など高めの場所が向く。一年ごとの買い替えが習わし
- 鯛の置物
- 小ぶりで飾りやすい。語呂合わせで気軽に贈れる
- 招き猫・だるま
- サイズ展開が多く、卓上にも置ける。目入れなど扱いが独特なものもある
置物は、気に入ってもらえないと片づけにくいという特徴があります。贈り物のマナーとして、相手が処分に困らない品を選ぶ配慮は欠かせません。迷ったときは、花やカタログギフトなど、受け取った後の負担が軽い贈り物と組み合わせることも考えてみてください。品物ごとの比較はプレゼント選びの章にもあります。
名前に験を担ぐ日本酒と名入れの品:寿・松の字を選ぶ

置物は苦手でも、縁起を添えたいときの選択肢として、日本酒があります。マネーフォワードの解説では、開業の験担ぎによく選ばれる「寿」や、松竹梅の「松」の名前が入った銘柄を選ぶと、お祝いの雰囲気が出るとされています。飾る場所によっては日本酒の外観が合わないこともあり、その場合はワインやシャンパンも候補になる、と紹介されています。
お酒を贈る場合は、相手への配慮を忘れないようにしましょう。飲めない人がいる、社内でアルコールの持ち込みが禁止されている、車で通勤している、といった事情もあります。贈る前に好みや事情を確認するか、相手が選べるかたちにしておくと安心です。お酒の贈り方はお酒の章で詳しく扱っています。
縁起をかつぐ別の方法として、時計を選ぶ人もいます。時計は実用品としても使えるため、事業の歩みを刻む品として選ぶ人もいます。ただし、置時計や掛時計は、事務所の雰囲気に合わなければ飾られないままになることもあります。詳しくは時計の章を参考にしてください。
いずれの場合も、縁起のよい名前や言葉が入っていることと、受け取る側が使えること、飲めることは別の話です。名前だけで選ばず、相手が楽しめる品かどうかを第一に考えましょう。
縁起物でも避けたい贈り方:赤・火・解釈が割れる姿

縁起物なら何でもよいわけではありません。会社設立のお祝いで避けたほうがよいとされる品には、「赤字」や「火事」を連想させるものがあります。日比谷花壇の解説では、タブーの例としてライター、灰皿、ろうそく、暖房器具、赤い花が挙げられています。縁起物でも、赤一色の飾りや火を使うろうそく型の品は、人によっては気にされる可能性があります。
避ける理由が言えることも大切です。ライターや暖房器具は火を、赤い色は赤字を連想させるため、といった理由が一般的に説明されています。とはいえ、これは「必ず失礼にあたる」という決まりではなく、気にする人がいるので避けるという考え方です。相手が気にしない人だと分かっているなら、必ずしも避ける必要はありません。

もうひとつ避けたいのが、「縁起がよいから」と押し付ける贈り方です。意味を長々と添えると、受け取る側は飾らざるを得なくなります。意味は短いカードで添える程度にして、扱いは相手に任せましょう。これもお祝いの場で守りたいマナーのひとつです。たとえば、招き猫を贈るときに「この猫は人を招く手です」と一言添えれば十分で、飾る場所や向きまで指定する必要はありません。会社設立のお祝いの品は、受け取った日から相手のものになります。
縁起物にも「お祝いの形」を添える:のし・立札・贈る時期

縁起物を贈るときも、のしやメッセージを添えるのが基本のマナーです。のしの表書きは、百貨店の解説では「祝開店」「御開店御祝」「御祝」などが用いられ、水引は紅白の蝶結びとされています。会社設立のお祝いなら、「御祝」や「御設立御祝」といった言い方で整える人が多いでしょう。書き方の詳細はのしの章で整理しています。
置物には立札を立てにくいので、贈り主の名前はのしやカードで伝えるのが現実的です。花や観葉植物を一緒に贈るなら、そちらには立札を付けます。書き方は立札の章を見てください。
贈る時期は、原則として開店前日から当日までが目安とされています。弥生の解説では、会社設立や開業のお祝いは、開業の前日から1週間ほど前が一般的とも紹介されています。置物は届いてから置き場所を決める必要があるため、少し余裕をもって届くほうが親切でしょう。
経費の扱いが気になる場合は、国税庁の通達に、得意先や仕入先などの社外の人の慶弔や禍福に際して支出する金品等の費用が、交際費等に含まれる例として挙げられています(租税特別措置法関係通達61の4(1)-15)。実際の処理は会社の状況で変わるため、税理士に確認してください。

まとめ:縁起物のお祝いは「相手が飾れること」を先に確かめる

会社設立のお祝いに縁起物を贈るときの要点を、順にまとめておきます。
- 縁起物は「福を願う気持ちを形にした品」の総称。招き猫、だるま、熊手、鯛の置物などがある
- 招き猫は左手が人、右手がお金、といわれる。両手を上げた姿は解釈が割れるため避ける人もいる
- だるまは目入れが残る贈り物。贈る側が先に目を入れない
- 熊手は一年ごとに買い替える習わし。飾る場所と動線を先に確認する
- 寿や松の名が入る日本酒は験担ぎとして選ばれるが、飲めない人や社内規程への配慮が要る
- 赤や火を連想させるものは避ける人が多いが、決まりではなく配慮のひとつ
縁起物の意味づけは、地域や作り手によって違い、マナーの面でも決まった型はありません。複数の解説でも説明が食い違うことがあります。2026年10月時点で確認できた解説を突き合わせた一般的な目安ですので、迷ったときは相手の考え方を優先してください。会社設立のお祝いに、決まった正解はありません。
最後に、品物選びで迷いやすい点を挙げます。置物は好みが分かれるため、贈る側の気持ちが強いほど受け取る側の負担も増えます。最初の一品に縁起物を選ぶより、花やお酒といった定番のお祝いに小さな縁起物を添えるくらいが、無理のない形かもしれません。プレゼントの選び方や相場の章もあわせて確かめておくと安心です。
最後に
縁起物は、意味を知るほど選ぶ時間が楽しくなる贈り物です。ただ、いちばん大切なのは、新しい会社を始める人が「置いてよかった」と思える一品かどうか。その点だけは、最後まで手放さずに選んでみてください。
招き猫でも、だるまでも、一本の日本酒でも構いません。相手の事務所を思い浮かべながら決めた品なら、それが何よりのお祝いになります。
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