立場お祝いを受け取った側の記事
会社設立のお祝いのお返しに掛けるのし|「内祝」と「御礼」の使い分け・水引・名入れの基本

対象
お祝いを受け取った側
会社を立ち上げたばかりで、取引先や友人からお祝いの品が次々に届いた。お返しの品は決めたけれど、百貨店の売り場で「のしはどうなさいますか」と聞かれて言葉に詰まった──そんな新会社の方に向けた記事です。
立場はお祝いを受け取った側(会社設立をした本人・新会社の担当者)です。お祝いを贈る側の、のしの書き方は扱いません。お返しの品に掛けるのし紙について、表書き・水引・名入れ・掛け方の4点を、売り場で迷わない順番に並べました。
お返しにのし紙を掛ける意味と「内祝」という言葉

会社設立のお祝いをいただいたら、お返しの品にはのし紙(掛け紙)を掛けて贈るのが一般的なマナーです。のし紙は、品物が「お祝いへの感謝のしるし」であることをひと目で伝える札のようなもの。包装紙だけで届くと、受け取った方は通販の荷物と区別がつかず、何のための品なのかを箱を開けるまで知ることができません。
お返しの表書きとしてよく使われるのが「内祝」です。三越伊勢丹の用語解説によると、内祝いはもともと「自祝い」、つまり自分の家にあったおめでたいことを、周りの人と分かち合うために品物を配る習わしでした。いただいたお祝いへの返礼という意味で使われるようになったのは後の時代のことで、現代では「お祝いへのお返し」として内祝いを贈ることが多くなった、と説明されています。
この成り立ちを知っておくと、会社設立のお返しで「内祝」を使う場面の感覚がつかみやすくなります。もともと身内の祝いを分ける言葉なので、家族や親しい友人に贈るお返しにはしっくりなじみます。一方、取引先のような対外的な相手には、別の表書きを選ぶ考え方もあります(次の章で詳しく扱います)。
のし紙と掛け紙の違い
売り場では「のし紙」と「掛け紙」という言葉が混ざって使われます。右上に小さな飾り(のし)が印刷されているものがのし紙、のしの無いものが掛け紙と呼び分けられることが多いようです。会社設立のお祝いのお返しは慶事なので、のし付きの紙を選ぶのが基本です。なお、品物が鮮魚や精肉などの生ものの場合は、のしを付けないとする考え方もあります。迷ったら売り場の担当者に「会社設立のお祝いのお返しです」と伝えると、適切な紙を選んでもらえます。

このあと、この4つを1章ずつ見ていきます。どれも「絶対の正解」があるわけではなく、地域や業界、相手との関係で選び方が変わることを前提に読み進めてください。
表書きは「内祝」か「御礼」か:相手との距離で使い分ける

お返しの表書きでいちばん迷うのが、「内祝」と「御礼」のどちらにするかです。三越伊勢丹の開店・開業のお返しの解説では、お祝いをいただいた場合のお返しは、身内や親しい方には「開店内祝」「開業内祝」「内祝」、仕事関係など対外的な方には「御礼」の表書きにするとよい、と案内されています。会社設立のお祝いのお返しも、この考え方に沿って選ぶとまとまりやすいでしょう。
| 相手 | 表書きの例 | 選ぶ理由 |
|---|---|---|
| 家族・親族 | 内祝 | 身内の祝いを分かち合う、もともとの意味に合う |
| 親しい友人・知人 | 内祝/設立内祝 | 気安い関係なら「内祝」で違和感がない |
| 取引先・仕入先 | 御礼 | 対外的な相手には感謝をそのまま伝える言葉が無難 |
| 前職の上司・恩師 | 御礼 | 目上の方には改まった言葉を選ぶ |
取引先に「御礼」が向くと言われるのは、内祝いが本来「身内のお祝い」を表す言葉だからです。仕事上の相手に身内の言葉を使うより、「お祝いをいただいたことへのお礼です」とまっすぐ伝わる表書きのほうが、受け取る側も意味を取り違えません。ただし、業界や地域によっては取引先にも「内祝」を使うのが普通という場合もあり、どちらかが失礼というものではありません。
「開業内祝」「設立内祝」のような書き方
「内祝」の前に出来事を添えて、「開業内祝」のように書く方法もあります。会社設立のお返しなら「設立内祝」と書くこともできますが、文字数が多いと紙面が詰まって見えるので、品物の大きさに合わせて選んでください。迷ったときは、短く「内祝」とだけ書いても意味は十分に伝わります。
社内の慣習が決まっている会社もあります。共同創業者や、親会社から送り出されて新会社を任された方は、先に社内の決まりを確かめておくと、あとで表書きを揃え直す手間が省けます。
ひとこと注意
表書きの選び方は、地域・業界・相手との関係によって異なります。ここで挙げたのは一般的な目安です。相手の会社の文化がわかっている場合は、そちらに合わせるのが何よりの心配りになります。
水引は紅白の蝶結びを選ぶ理由

のし紙に印刷された紐の絵が水引です。会社設立のお祝いのお返しには、紅白の蝶結び(花結び・もろわな結び)の水引を選ぶのが一般的です。売り場では「会社設立のお祝いのお返しに使います」と用途も添えて、紙の見本を確かめてください。
蝶結びは、引っ張ればほどけて、何度でも結び直せる結び方です。三越伊勢丹ののし紙の解説では、紅白もろわな結び(花結び・蝶結び)は「何度あってもよい慶事や季節のご挨拶など」に、紅白の結び切りは「一度きりであってほしいこと」に使うと説明されています。事業の発展や会社の節目は何度あってもうれしいことなので、蝶結びが合う、という考え方です。

■結び切りを避けるのはなぜか
三越伊勢丹では結び切りを結婚や快気祝いなどに用いるものとして区別しています。そのため、会社設立のお返しで婚礼用ののし紙を選ぶと、用途が伝わりにくくなります。ただし、別の結び方を一律に失礼と決めつける必要はありません。地方の贈答慣習や取り扱う店舗の案内が違う場合は、会社設立のお祝いをいただいたこと、その返礼であることを伝えて選んでもらいましょう。形の名称を覚えることより、用途の取り違えを防ぐことが先です。
水引の本数は相手や地域の慣習によって選び方が変わると、同じ解説にも注意書きがあります。本数の多さを礼の厚さと考えて独断で変えるより、会社設立のお祝いのお返しに使う標準の見本を売り場で確認しましょう。印刷の色や結び方を指定する欄が別々にある場合には、表書きだけ入力して注文を終えないようにします。
ちなみに「のし」と呼ばれる右上の飾りは、もともと薄くのばしたアワビを添えた名残だとされます。最近は印刷が一般的で、形の違いを気にする必要はありません。
名入れは会社名か代表者名か:のし紙の下段の書き方

水引の下の段には、お返しを贈る側の名前を書きます。ここが「名入れ」です。会社設立のお返しでは、会社名で出すか、代表者の個人名で出すかで迷う方が少なくありません。決め手は、誰あてにお祝いが届いたかです。

会社あてに届いたお祝いには会社名で
「株式会社〇〇 御中」あてに胡蝶蘭や祝電が届いた場合は、会社として返すのが自然なので、名入れも会社名にします。会社名が長いときは、文字を小さくして一行に収めるのがきれいです。株式会社を「(株)」と略すのは、正式な贈答の場面ではあまり好まれません。代表者の名前も伝えたいときは、会社名の横に「代表取締役 〇〇〇〇」と添えます。
個人あてに届いたお祝いには個人名で
友人や親戚から「〇〇さん、会社設立おめでとう」と個人あてにお祝いが届いた場合は、代表者の個人名で返すほうが気持ちが伝わります。姓だけを書く方法もありますが、同じ姓の親戚が多いときなどは、フルネームにしておくと誰からの品かがはっきりします。
共同で会社を立ち上げた方は、創業メンバーの連名にしたくなるかもしれません。連名は3名程度までが読みやすく、それ以上になる場合は会社名でまとめたほうがすっきりします。連名のときは、右から立場が上の人の順に並べるのが一般的です。
開業時に配る記念品のように、会社として大勢に配るものなら、迷わず会社名です。どちらにすべきか判断がつかないときは、お祝いの送り状やカードに書かれていた宛名をもう一度見てみてください。相手が「会社」に贈ったのか、「あなた」に贈ったのかが、答えを教えてくれます。
内のしと外のし:手渡しと配送でどう掛け分けるか

のし紙を包装紙の内側に掛けるのが「内のし」、外側に掛けるのが「外のし」です。どちらが正しいというより、届け方で使い分けると考えるとわかりやすくなります。
- 内のし
- 品物にのし紙を掛け、その上から包装紙で包む。配送でのし紙が汚れたり破れたりしにくい。控えめな印象になる
- 外のし
- 包装した上からのし紙を掛ける。表書きと名前がすぐに見えるので、手渡しのときに用途がひと目で伝わる
高島屋のお返しの解説では、郵送や宅配便で贈る場合は、のし紙をつけた上から包装紙で包む内のしにする、と案内されています。配送の途中で外側にのし紙があると、汚れたり破れたりしやすいからです。会社設立のお祝いのお返しも、遠方の取引先へ宅配便で送ることが多いので、配送なら内のしと覚えておくとよいでしょう。
一方、事務所に来てくださった方に直接お渡しする場合や、お披露目の席で手渡しする場合は、外のしにすると、受け取った方がその場で「お祝いのお返しだ」とわかります。紙袋に入れて持参し、渡す直前に袋から出して、相手から表書きが読める向きで差し出すのがきれいな渡し方です。

最近はネットのギフトショップでお返しを手配する方も増えています。注文画面で「内のし/外のし」を選べることが多いので、送り先ごとに設定を間違えないように確かめてください。いっぺんに何十件も手配するときは、表計算ソフトで「宛先・手渡しか配送か・表書き・名入れ」を一覧にしておくと、指定ミスを防げます。
記念品として配るなら「設立記念」の表書きも

会社設立のお祝いへのお返しとは少し性格が違いますが、お披露目の会や挨拶回りで記念品を配ることもあります。この場合の表書きは「内祝」や「御礼」ではなく、「設立記念」などが使われます。
三越伊勢丹の開店・開業の引出物の解説では、新会社を設立した場合は紅白もろわな結びで「設立記念」「新会社設立記念」と表書きし、その下に社名を入れるとよい、と紹介されています。お返しが「いただいたお祝いへの感謝」なのに対して、記念品は「設立という出来事を覚えていてほしい」という意味合いが強い品です。
| 品物の性格 | 表書きの例 | 名入れ |
|---|---|---|
| いただいたお祝いへのお返し(身内) | 内祝 | 代表者名や会社名 |
| いただいたお祝いへのお返し(仕事関係) | 御礼 | 会社名(代表者名を添えても) |
| お披露目・挨拶回りの記念品 | 設立記念/新会社設立記念 | 社名 |
お披露目の会を開いた場合のお返し
お披露目の会を開いて、お祝いをくださった方を招いた場合は、その会でのおもてなしと記念品が、お返しの代わりになるという考え方があります。日比谷花壇の事務所開設祝いの解説でも、お披露目パーティーを行う場合はそれ自体がお返しとなるので、お返しは不要と言われている、と紹介されています。その場合、会に出席できなかった方には、別にお返しを贈るのが丁寧です。
記念品に社名やロゴを入れる場合は、控えめな大きさにとどめるのがポイントです。大きく入れすぎると「宣伝品」の印象が強くなり、受け取った方が使いにくくなります。のし紙の名入れで社名を伝えているなら、品物そのものへの名入れは小さくても十分です。
のしを決める前に確かめたい、お返しの相場と時期

のし紙の書き方が決まっても、品物の金額や贈る時期がずれていては、せっかくの心配りが伝わりにくくなります。ここでは、のしを決める前提として、お返しの相場と時期をかんたんに確かめておきます。くわしくはお返しの章で扱っています。

開店祝いのお返しを扱うマネーフォワードの解説では、返礼品はいただいたお祝いの3分の1から半額程度が目安とされています。三越伊勢丹法人オンラインギフトの開業祝いのお返しの解説では、いただいたものの3割〜5割ほどを相場としています。会社設立のお祝いのお返しも、この幅をひとつの目安にするとよいでしょう。高価すぎるお返しは、かえって相手に気を遣わせてしまいます。
時期については、同じマネーフォワードの解説が、お礼状と返礼品を贈るタイミングは開店から1〜2週間以内が目安としています。会社設立の場合も、お祝いをいただいてから日を置きすぎないように手配するのが目安です。品物の到着が遅れそうなら、先にお礼状やメールでお礼を伝えておくと安心感が違います(お礼状の例文・メールの返信も参考にしてください)。
ひとこと注意
注文したら、宛先ごとの表書きと名入れを控え、発送予定と一緒に管理しましょう。お祝いへのお礼を先に伝えたかどうかも記録すると、のし紙の手配と連絡が行き違いにくくなります。
まとめ:お返しののしは「誰に・どう届けるか」で決まる

会社設立のお祝いをいただいたあとのお返しは、品物選びに気を取られがちですが、のし紙もまた感謝を伝える大切な部分です。最後に、この記事で整理したポイントを振り返ります。
- 表書き:家族や親しい友人には「内祝」、取引先など仕事関係には「御礼」が目安
- 水引:何度あってもよい慶びなので紅白の蝶結び。結び切りは避けるのが無難
- 名入れ:会社あてのお祝いには会社名、個人あてのお祝いには代表者の個人名
- 掛け方:配送なら内のし、手渡しなら外のし
- 記念品:お披露目で配る品には「設立記念」などの表書き
どの項目にも、地域や業界、会社の方針によって違いがあります。ここで紹介したのは2026年10月時点で確認した一般的なマナーの目安で、相手の慣習がわかっているならそちらを優先してください。のし紙の細部より大切なのは、お祝いをくださった方に、きちんと感謝が届くことです。
お返しを贈ったあとに、改めてお礼を伝えたい相手がいる場合は、お礼状の章で関係ごとの書き方を確かめられます。品物とお礼状のどちらを先に出すか迷う場合も、あわせて確認してみてください。
注文前には、のし紙の画像見本と実際の名入れを照らし合わせましょう。宛先の一覧だけでなく、どの相手にどの表書きを指定したかも残しておくと、担当者が交代しても会社設立のお祝いへの対応を引き継げます。
最後に
お祝いの品が届いた日の事務所の空気を、のし紙一枚でお返しする。そんなつもりで表書きを選んでみると、売り場での迷いも少し楽しいものに変わるかもしれません。
新しい会社の最初のやり取りが、気持ちよく続いていきますように。感謝の伝え方に迷ったら、またこのページを開いてみてください。
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